6.27.2011

読書。

今月三冊目。
読んだのはこちら。

伝説のプラモ屋〜田宮模型をつくった人々。
先日読んだ田宮模型の仕事の続巻にあたる書籍だ。

前著が田宮模型の歴史的、企業的側面に焦点を合わせた著書であったのに対して、本著は田宮模型に関わる人物に焦点を合わせた著書だ。

世界企業が、いかに多くの人々に支えられて作られ、運営されているものかというのを知ることができると同時に、そうした人たちとの脈をうまく使いこなす田宮社長のセンスにも下を巻く一冊となっている。

結局のところ、商売を決めるのは人間であるというところが、デジタル化された設計、完成品志向に移りつつある市場があったとしても、行き着いてしまう面白いところだと感じた。

奇しくも昨今、中国の新幹線コピーが問題になっているが、田宮のプラモデルはそのずっと前からコピーに悩まされてきたという。
それは、メイド・イン・ジャパンの優れたものづくりが先行しているからこそ真似されるのだと思うと同時に、結局のところ、この優れたメイド・イン・ジャパンを創り上げたのは田宮社長たちの世代であり、自分たちの世代でないことに、大変悔しい思いをする。

今や飛行機で4時間も飛べば日本人より勤勉で、安価に雇える人材が居るという言葉には、一人のエンジニアとして背筋の凍る思いがした。

ものづくりに関わるすべての人に読んでもらい、ぜひ考えて欲しい。
田宮社長に笑われるようなメイド・イン・ジャパンを展開するわけにはいかない。
そういう強い衝動に駆られる一冊だった。

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