5.01.2010

「物理学」の伝記。

最近読んだ本の話。

工学系ながらファインマン先生のファンを自称している私ですが、科学史や物理学全般に強い興味があります。
そんな中、書店で目にして、目次にファインマンが入っているのを見て下巻を衝動買いし、翌日店頭ではゲット出来ずにアマゾンで上巻を注文するという形で上下巻を揃えて読んだのがこちら。



物理学天才列伝(上下巻)。
物理学に関わった天才たち29人を、各分野に分けて、彼らの人となりを、その研究成果と合わせて紹介している書籍です。

29人の選び方には若干疑問符が残るものの、内容としては現代科学の父ガリレオによる科学のはじまりから、車椅子のニュートンこと、ホーキングによる超近代宇宙科学まで、力学、電磁気学、熱力学、統計力学、量子力学、相対論、素粒子物理学、原子核物理学、天文学と宇宙論といった、物理学の主要分野をほぼすべてカバーした内容となっています。

流体屋としては、流体を扱っている項がとても少ないのが残念でしたが、29人それぞれが、なんらかの形で他の天才の章に顔を出していたりして、とてもバランスの取れた内容だとは思いました。

熱力学や素粒子、相対論のあたりは数式による解説があり、いわゆる伝記もののように誰でもがすんなりと読める作りにはなっていないものの、内容は平易でわかりやすく、高校程度の物理の知識と、最新の科学に対する興味があれば楽しめる書籍になっていると思います。

各偉人の人となりも書かれており、どんな人生を送った人たちだったのか?をうかがい知ることが出来、天才の人間たる側面を、29人連続で知ることの出来る、数少ない書籍であるとも言えます。

この本を一言で表すならば、「物理学の伝記」で、「誰か」でなく「物理学」そのものを伝記調にまとめた傑作だと言えるでしょう。
時系列で起こった事がまとめられた表も収録されているので、科学史の教科書として使っても面白いと思います。

一人でも好きな科学者の名前が挙がっていたら、全編を通じて読む価値のある書籍だと思います。
他人にもオススメできる、大変良い読み物でした。

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