1.25.2010

結局何が言いたいのか?

映画「オーシャンズ(OCEANS)」、見てきました。

以下、ネタバレになるので見ていない&ネタバレ嫌だという方は、例のごとくここでお別れです。





率直な感想はタイトルの通りで、イマイチ伝わってくるものの無い映画でした。

基本構成は、海の生き物たちをとらえた映像を、ぶつ切りにしてからつなげ直した前編と、海洋環境汚染、密漁、海から見た地球環境破壊が主軸の後編に分かれていて、宣伝されているのはほぼ前編の部分だけ。

前編はストーリーなど皆無に等しく、たいしたスジもない映像の羅列を、ナレーションとともに流すだけ。
確かに生き物に迫った映像は迫力があるし、生き物それぞれの良さが出てはいると思うけれども、Deep BlueやEarthに代表される同種の映画に比べると、あまりにもスジがなさ過ぎる気がします。

表現として映画にしたのであれば、それなりの筋道を付けて欲しかったと思いました。

また、子ども達は500円で入場できるものの、後半、頻繁に登場する環境保全至上主義者が育ちかねない過激な表現手法には疑問を感じました。

「それが現実です」とナレーションは語りますが、映画の最後には「生き物は傷つけていません。人為的な映像加工です」の字幕が。
映画のために傷つけるのは許せないことですが、「現実です」とナレーションを入れる以上、現実の記録映像を使うべきだったんじゃないだろうかと思います。

フカヒレのために、サメが密漁されるシーン。
おそらく、実際の密猟者は一匹ずつサメを投げ捨てるような真似はしないでしょう。
ヒレ以外は商品価値がないのですから、ゴミとしてまとめて投棄するはずです。
「現実だ」としながら現実か?と思える、表現による誇張があるのは非常に気になりました。

モリで突かれるシーンも、声を上げる海洋ほ乳類(クジラやイルカ)を中心に取り上げ、その声から「ひどいことをしている」ような印象を受け付けようとしているのも気になりました。それがクジラかイルカかに係わらず、無駄な殺生をすべきでない事は明白で、もっと一般の魚類にも通じる表現の仕方があったと思います。

また、途中途中に海洋学者と少年が出てくるシーンが織り込まれているのですが、これらの映像の必要性も謎です。
少年が海とは?を投げかけなければ物語がはじまらなかったのか?海洋学者の口を通さなければ、絶滅していく動物たちが居る事を語れなかったのか?たぶん、そんなことは無いでしょう。
また、博物館の時計の時刻も、もっと工夫のしようがあっただろうとおもいます。

少々批判的になりましたが、事前の期待度が高かっただけに、どうしても「環境問題を商売の道具にした」感じの映画に思えてしまい、私は好きになれませんでした。

たぶん、誰かにすすめるようなこともしません。
観に行きたい方を止めようとも思いませんが、私は好きになれない映画でした。

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