8.02.2008

ムペンバ効果騒動、ここまでのまとめ。

スラッシュドットで話題になっていたので、ちょっと取り上げてみる。
(われらがボルツマンの敗北か!?と一瞬気になったのでw)

はじめに、ここまでのムペンバ効果に関する流れを整理しておくと

1.NHKのためしてガッテンにて、ムペンバ効果なる効果が取り上げられる。
2.大槻名誉教授のもとに、あれって本当なの?というメールが届く。
3.熱力学的にありえないだろwwwと、大槻教授がブログで批判。
4.他ブログやニュースサイトでも取り上げられる。
5.NHKは何度か実験しましたと主張。ブログ読者からも、実験しないで批判とは何事かと、大槻教授が批判される。
6.大槻教授も実験。すると、NHKの主張とは違った結果がでた。
7.ためしてガッテンを監修した北大教授が、複数の条件下ではあり得ると反論。
8.日本雪氷学会が本格議論へ。

といったこところ。
私が考える、今回の一連の騒動でまずかったと思えるところは

・NHKは、まるでお湯のほうが(どんな場合にも)早く結氷するように報じてしまった。(条件を整えるとなるとか、確率的な現象であるという説明があったが、それはほんのオマケのようなものだった)
・科学の世界では謎というような、昨今の脱科学、似非科学、オカルト科学な風潮を煽る(具体的にいえば、大槻教授がかみつきやすい)報道をしてしまった。
・NHKが何度も実験したとする実験も、いくつか疑問点が残る実験だった。
・大槻教授は、ためしてガッテンを確認せずに実験/批判を行った。

といったところ。
一部ブログでは、本筋と離れたところから大槻教授の主張を批判したり、本筋とは全く関係ないところに突っ込みを入れてるようなブログもある様子。
#(お祭り好きの集まりみたいな状態になってるという印象。
きちんと議論するつもりは無いんだろうね。こういう人たちは。)

ひとつひとつ、問題点を紐解いていこうと思う。

まず、NHKがお湯のほうがどんな場合にも結氷するかのように報道したことについてだが、最近のテレビの流れだと、これは仕方なかったと思う。
でも、視聴者にそういう誤解を与えたならば、報道局として謝っておくのがいいんじゃないだろうか?

次に、似非科学風味な報道をしたということについてだが、これも昨今の報道スタイルとしては当たり前な気がする。(いつだかの、でんじろう先生を使った歯磨き粉のCMに関して書いたときと同じ気持ち。)

3番目に、NHKが何度も実験したとする実験についてだが、疑問点については後に挙げる参考サイトが詳しいので、そちらを参照してもらいたい。

最後に、大槻教授の行った実験のまずかった点だが

・70℃と17℃という、実験の前提条件から大きく外れた水で実験を行った
(Wikipediaによれば、この効果を確認するには、35℃と5℃の水で実験するのが望ましいとされる)
・東京都水道局のページに掲載されている、対流が結氷に影響を与えるような、深い製氷器を利用しなかった
・深い製氷装置としてペットボトルを選択してしまった。
(ムペンバ効果の(再)発見者とされるムペンバ君の報告では、熱のやり取りは水の界面を通じて行われるとのことだったので、口の小さいペットボトルでは、それほど良い成果が得られないと考えられる)
・実験条件を整えないまま実験して、批判してしまった

というところじゃないだろうか。

この問題について、私が言えることは、
お湯を作るにも、お湯を結氷させるにもエネルギーが必要で、そのエネルギーは、水を結氷させる場合より大きくなることは明らかであるから、エネルギー問題が叫ばれる昨今、ホイホイとやるのは良くないよねってこと。

いろいろ調べてたら、よくあるお祭り状態になっていて、結局どっちが正しくても、みんなかまわないんじゃないだろうかと思った。

だって、お湯を沸かし始める時間から結氷させれば、結局水を結氷させるのと同じぐらいの時間を使っちゃうんじゃないかなと思うし。

よくわからない結論になったけど、要するに大槻教授はもう少し問題をきちんと把握してから批判しましょうってことと、NHKは科学者に批判されないような報道を心がけましょうってこと。

お祭り騒動に疲れた方は、どうぞコメントにて身近な環境問題対策についてお話しください。

以下、参考サイト。
スラッシュドット・ジャパン
大槻教授のブログ
Wikipedia - ムペンバ効果
水のおもしろ実験「お湯のほうが先に凍る?」- 東京都水道局
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